Steamで配信されているパズルゲーには『PORTAL』シリーズのような超有名タイトルや、
『The Witness』や『Baba Is You』といった多くの人に知られた怪物インディーゲーがある。
今回はそれらの作品に引けを取らない、筆者おすすめの高評価パズルゲーを紹介。
ユウゴウパズル
可愛いらしい見た目と全然可愛くない難易度のパズルゲーム。同じ色のゼリーを全てくっつけるとクリアというとてもシンプルな内容。
『ユウゴウパズル』は個人開発者のたつなみ氏がSteamにてリリースしている2Dパズルゲームだ。約200件のレビューを得ながら98%の人がオススメとしており、とても評価の高い作品であることが分かるだろう。
プレイヤーが行えるの操作はゼリーを左に動かす。ゼリーを右に動かすのたった2つと限られており、見た目通りのシンプルさのため、もしかしたら最初の1,2問はまぐれでもクリアできるかもしれない。しかしながらどうすれば穴に落ちないよう対岸にゼリーを運べるのか…どうすれば遠く離れたゼリーをくっつけることが出来るのか…といった要素をステージ毎に考え直し、どのゼリーから動かすのか、どの色からまずくっ付けるのか、ステージ毎に提示される選択肢の中で何が答えに繋がるのかを一つ一つ吟味していかなければすぐに行き詰ってしまうことだろう。
またゼリーは左右に動かすたびにぽよんぽよんと上下に跳ねるのだが、これはただ視覚的楽しさを提供するためだけのものではない。この”跳ね”のせいで、「高さ一マスの隙間に入れない」「変な形でゼリーがくっ付いてしまう。」「逆にゼリーがくっ付いてくれない」など様々な問題が生じてくるのだ。これをいかに回避し、”跳ね”を使いこなすかがこのパズルの肝となっている。
ちなみに作者のたつなみ氏は自身のホームページでこれの前作に当たる『ゼリーのパズル』を無料で公開している。ルールは微妙に違うが、ゲームの雰囲気を掴むことは可能であり、こちらも相当な難易度で楽しめるため最初はこちらを触ってみるといいだろう。
自分は解法を忘れた頃に最初から最後まで解きなおすというのを4,5回ちかくもやるほどの大のお気に入り。また作者たつなみ氏のTwitter(X)でも度々パズルが投稿されており、これもまた頭を悩ませてくれるものが多くとても楽しいのでぜひ覗いてみて欲しい。
Filament
プレイヤーが出来る操作は移動のみ。不思議なロボットを操作して白い柱を光らせよう。
『Filament』はBeard Envyが開発した一筆書きのようなパズルゲームだ。500件のレビューを受けそのうち90%がオススメとしている。
プレイヤーが行える行動は移動のみ。背中から延びる白色の”紐”を、同じく白色の柱全てに接触させ光らせることで扉が開き、その扉に入ることでステージクリアとなる。
ただし、自身の”紐”が通った部分は通行不能になり、そのせいで攻略が進むにつれ取れる選択肢がだんだんと狭まっていく。行き当たりばったりでは後半に身動きが取れなくなってしまうため、俯瞰視点を用いてどの部分をどのように移動するのか、あらかじめ検討を付けておかなければならない。
しかし柱を光らせることだけに集中していてはいけない。せっかく全ての柱を光らせることが出来ても、扉に向かう途中で紐と柱の接触が離れてしまい扉が閉まってしまうといったことや、出口への道が紐によって閉ざされてしまっていることもある。先を見据えて柱を回る順番にも気を使わなければならない。
また、ステージが進むにつれ色付きの柱が出てきたり、背の異なる柱が出てくるなどギミックも次第に増えていくが、ゲーム内ではそれらのギミックについて丁寧に説明してくれることはない。試行錯誤を繰り返し、どういった条件で扉が開くのかというのを突き止める必要がある。
以上の特徴から操作こそ移動だけと簡単なものの、腰をじっくりと据えて脳を酷使したい人にオススメ。
筆者はその操作の簡単さから、SteamLinkを使用して電車に乗っている時等にスマホでプレイしていた。
Patrick’s Parabox
『Patrick’s Parabox』は個人開発者Patrick Traynorの制作した2Dパズルゲーム。
プレイヤーは赤色の自キャラを上下左右へ動かすことのみ可能。
フィールド上にある箱を白泉の枠で囲まれた場所に押してゆき、全ての空白の枠を箱で埋めたのちに、自身も顔マークのある白線の場所に行けばゲームクリアとなるのだが、ここで以下の画像を見てほしい。
この盤面から、黄色の箱を左下へ。その状態で自キャラ(赤色の顔が付いた奴)を左上に持っていくことはできるだろうか。
一目見て絶対に不可能なことが分かるだろう。実はこの画像はゲーム画面の一部をトリミングしたものになっている。次に完全な状態の画像を見てほしい。
勘の良い方はすぐにどういうモノか理解できたかもしれない。
まず最初に、先ほど盤面とした領域の左側に自キャラが大きく表示されていることに気づくだろう。そして自キャラの横に存在している複雑な模様の箱と盤面が同じ形になっていることも。
Patrick’s Paraboxはパズルの盤面を示した箱がパズルの盤面の中にあり、その間をプレイヤーが相互に行き来できるという特異な性質を利用して謎を解く新感覚のパズルゲームなのだ。
箱の中に箱、その箱の中に箱、またその箱の中に…
繰り返される景色から攻略の糸口を見つけ出し、パラドックスな箱『parabox』を攻略しよう。
Taiji
『The witness』の精神を受け継ぐ高難易度パズルゲーム。
『Taiji』はMatthew VanDevander氏が開発したパズルゲーム。約800件のレビューを受け、非常に好評となっている。
肝心のゲーム内容だが、上の動画を見てほしい。あの伝説とも言っていいSteamパズルゲームの金字塔『The Witness』から大きく影響を受け、リスペクトを感じるパズル画面だ。
風景に紛れるヒントから答えを導いたり、文字による説明無しで追加されていくルールやギミック等多くの部分で似通った要素を持つ。
しかしながらただの模造作品ではなく、似ているが異なるこのゲーム独自のルール、ギミック等の要素が各所に散りばめられており『The Witness』をプレイしていない人も、プレイしたことのある人もどちらも楽しめる内容になっている。
また簡素でありながら、しっかりと世界観を演出する2Dアートと効果音やBGMがとても心地が良くパズルにどっぷりと浸ることができる。そのような丁寧に制作されたビジュアル、音楽面に加え、操作感といった点でも思考の邪魔をしないような非常に出来の良い作りになっている。パズル一問一問で都度画面の切り替わるようなパズルゲームの操作性、明瞭性とゼルダのような探索要素が組み合わさり片時も飽きることなくゲームに集中出来た。
少しばかり値が張るゲームではあるものの非常に満足度が高いためより多くの人に遊んでもらいたい。
以上4つが筆者おすすめのパズルゲームだ。この中でも手軽さと難易度のバランスが良い『ユウゴウパズル』は是非とも色々な人に触ってみて欲しい。まだまだ紹介できていない面白いパズルゲームがある上に、現在SteamではSteam Nextフェスが開催中。『Jusant』や『ARTIFICIAL』といった話題の新作パズルゲームもあるため今後もパズル特集記事を執筆する予定である。